レビュー

◆ミュージカル観劇レビュー「劇団四季:ウィキッド」(ネタバレあり)◆
※実際のemigliaのブログレビューをそのまま掲載しています。
かなり私情が吐露されていますが、ご依頼いただく際には「客観的か主観的か」「ネタバレの有無」「ラフなかんじか考察のように固いかんじか」などご指定いただけます。


劇団四季のウィキッドを観てきました!

深い………

このひと言に尽きます。

「誰にも愛されぬままひとり死んでいった、それが彼女の哀しい運命」と、冒頭で歌われるエルフィーですが、哀しい運命を背負っているのは、どっちかっていうとグリンダじゃないかしら…と。
エルフィーは、確かにずっとずっと寂しくひとりぼっちで過ごしてきたけれど、魔法の力も認められ、自分の事を本当に愛してくれる人と巡り会い、何にも縛られずに自由に生きる道を選べた。
反対に、グリンダは、皆から愛される自分を貫く事で、大好きな親友も恋人も失い、虚しい気持ちや沢山の後悔や迷いを抱えながらも、それを表に出す事さえも許されずに生きていかなければならない。自分に銃口を向けたフィエロを庇うグリンダの「彼には私を傷つけるつもりはありません。彼は、ただ、彼女(エルフィー)を愛しているだけなんです」という台詞に、私はやられました。なんて漢なんだ…グリンダ……涙。

その前にエルフィーとグリンダが全く同じメロディでフィエロへの切ない想いを乗せて「私じゃない」を歌いますが、この曲にも、それぞれ友人の方がフィエロには相応しいから、と決して嫉妬ではない、親友を敬愛している感情が伝わってきます。切ないんだけどね、めっちゃ。

フィエロも、良いヤツなんですけどねー。
「エルフィーに構わない方が良い」と言うグリンダの意図と想い、そしてエルファバ自身の気持ちを、全て汲み取ってグリンダと結婚する事を承諾。でもやっぱりエルフィーを愛している…くうぅ…。
もー、この三角関係、奇跡としか言いようのない切なさと苦しさと温かさに溢れています。

フィエロとエルフィーは両想いなんだけども、2人ともグリンダも大切に思っていて…。グリンダもその事は分かっていて…。泣ける……。

また、グリンダの見せ場で「ポピュラー」がありますが、この歌が、彼女の運命を象徴しているなぁと。
結局、才能があっても教養があっても、人気、外面の方が重要なのです。それを、彼女自身が見事に「良い魔女グリンダ」となる事で体現してしまいます。
明るくてコミカルな曲なんだけど、ゆくゆくの展開や彼女の歩む人生を思うと、あんまり笑顔では聞けないなぁ。。

深読みしすぎ…?
ではないと思うんですけどねー。

グリンダは、そういう「ポピュラリティ」にがんじがらめになっていく自分を覚悟を持って受け入れる選択をし、実際それを、貫く事になるわけです。

「自由を求めて」で「選んだ道だから、悔やまない、決して」と2人揃って歌いますが、ここでグリンダとエルフィーの生き方がハッキリと分かれました。
一見すると、グリンダは結局のところ保身と安寧を選び、エルフィーは意志を貫いてカッコイイ!みたいに感じてしまわれがちと思いますが、私には「留まる決意」をしたグリンダの覚悟も立派だと思えました。
グリンダはその後、イバラの人生を歩む事になるし、その人生はこの選択をした時の彼女には描けていなかったでしょうが、腹を括って真っ向から受け止めている。
で、エルフィーも、この選択、そして生き方を選んだグリンダの事を心底馬鹿にしたり蔑んだりはしないのね。
つい噛み付いてしまったりはするものの、やはり大切な親友なんだなぁと。

そして私は、グリンダとエルファバ、誰もがこの2人の要素を持ち合わせている気がするのです。
不特定多数の人たちに認められ、人気者になりたいという願望、ありのままの自分をさらけ出し、自由に生きたいという願望、どっちもあるんじゃないでしょうか。

私自身が、今、世間的に一般的に「幸せ」と呼べるような安定した人生を歩みたいのか、ちょっと変わり者と呼ばれようと、先行き不安定で食いつなぐのもままならなくても、自由に生きたいのか、よく考えるので、なーんか他人事とは思えなかったなー。

本編の方に戻るとですね、ラストシーンではエルフィーが、せめてグリンダには自分たちが生きている事を知っておいてほしいと望みますが(親友ならば当然よね)、フィエロがそれを制します。

だから、グリンダはエルフィーもフィエロも失ってしまった。死んだと確信が持てずに「あのコのことだから、きっとどこかで生きている」と希望をもってそう信じているかもしれませんが、それにだって勿論確信はない。

私は、エルフィーがグリンダの前に姿を現しても、グリンダは墓までそれを持っていき「悪い魔女ウィキッドは死んだ」を貫き通すと思うのですが、そしてその方がグリンダにとってもエルフィーにとっても良いような気がするのですが、フィエロの考えは違ったわけです。男性脳と女性脳の違いかねぇ。。。
そしてエルフィーはフィエロの考えに素直に従います。愛、か・・・。

グリンダ、かわいそうだよなー。一生心にポッカリ穴が開いたまんまよ。
でもそれすら受け入れて生きる覚悟を見せてくれる彼女、本当に強いです。

と、まぁここまで深読みして(?)、深い…重い……と若干立ち直れなかったのですが、とにかくストーリーと音楽と演出が素晴らしいですよね。
「ポピュラー」の伏線もそうだし「私じゃない」を2人それぞれ歌っているのもそうだし、「魔法使いと私」「自由を求めて」「あなたを忘れない」それぞれで、全く同じメロディに乗せてエルフィーが「私にはできる」「2人ならできる」「私にはできない」と歌うのも、本当によくできてる。

あと、因果ね。
ボックがブリキになってエルフィーに牙を剥きますが、これって辿っていくと
・ボック、グリンダに惚れる
・グリンダ、ボックのアプローチがうざいので、ネッサに声をかけるよう仕向ける
・ネッサが「哀れみでも嬉しい」と言うので思わずボックが「君はステキ」と言っちゃう
・ネッサ、ボックを離したくない
・エルフィーがネッサの靴に魔法をかけて歩けるように!
・ボック、(ネッサが歩けないという)足枷が無くなったのでグリンダの元へ行きたい
・しかしボックを離したくないネッサは必死になってでたらめに魔法をかける
・ボック、悶絶
・エルフィー、そんなボックを苦しみを感じない体(ブリキ)に変える

…って、大元はグリンダのせいじゃねーか!となりますが、「ボックに声をかけてもらったのを喜んだネッサ」を見て、エルフィーのグリンダに対する気持ちが変わっていくんですね。
つまり、グリンダの気まぐれが、友情と悲劇、どっちも生み出しているわけです。

これもまた、色々考えさせられるなぁ…と思いました。

まぁ、ホントにホントの大元を辿ると、そもそもオズ氏が全ての元凶になっちゃって「不倫はやめましょうね」のお説教になっちゃうんだけど、それだとエルフィー生まれてないから、そこは置いとこう…。
よーくよーく練りに練られた作品なんだなと感心もしたし、感動もしました。

役者さんたちの歌唱力、非常にレベルが高く、表現力もピカイチだったので、ぐいぐい引き込まれました。
色々、複雑な感情は抱いたものの、舞台芸術としては、とてもとても楽しめたひと時でした。

◆映画レビュー「ミス・ペレグリンと奇妙な子どもたち」(ネタバレ無し)◆
※実際のemigliaのブログレビューをそのまま掲載しています。
かなり私情が吐露されていますが、ご依頼いただく際には「客観的か主観的か」「ネタバレの有無」「ラフなかんじか考察のように固いかんじか」などご指定いただけます。


予告編をたまたま見かけてなんとなく気になってた「ミス・ペレグリンと奇妙な子どもたち」を観てきました。
ティム・バートンのファンというわけではないけれど、奇妙な話や不思議な話、空想の世界って、なんか好きなので。
 
それはもう、小さい頃から。
妖精とか妖怪とか好きだったし、よく母に「アンタは想像の世界に生きてるね」と言われてました。
アリスかい、あたしゃ。
 
で、「ペレグリン」の感想は、なかなか面白かったです。
でも実は映画館で映画を観るのがあんまり得意じゃ無い私は、耳の穴を指で半分くらい塞いでないと不安になるかんじのハラハラ展開でした。

(なんたって、"ハリーポッターと賢者の石"のハグリットがドアを破壊したシーンで「ひゃっ」って実際に声を小さく上げてシートから2mmぐらい飛び上がったぐらいノミの心臓なの)

あの白い目の人たち、コワイわ〜。
モンスターより、よっぽどコワイ…。
白いコンタクトって嫌いです。。虹彩って大事ね。

ストーリーは、主人公ジェイク君が「ループ」っていう同じ日を繰り返す空間で暮らす、ちょっと変わった能力や特徴を持っている子どもたちの施設を訪れて、やがて彼も自分に隠された能力に気づき、子どもたちに迫り来る危険から守る…ってかんじかな。超ザックリと。
体が空気よりも軽かったり、触れたものを燃やしたり、とんでもない怪力だったり、後頭部にキバつきのデッカい口があったり、蜂を操れたり、予知夢をスクリーンに投影できたり、とにかく色んな子がいて、でも皆で仲良く平和に暮らしてるんです。
 
誰かがこれに関して「いわゆる"普通じゃない人"のデフォルメなのでは」とか言及してたし、実は映画本編の中でもジェイクの父がそんなような事を口にします。
が、映画観て、私はあんまりそういったメッセージは感じなかったなぁ。。
どっちかっていうと、本当にそういう不思議な人たちがいるのに、信じる事を拒絶する"普通の人"がジェイクの父で、ハリーポッターで言ったらマグルみたいなもんかな。だから、魔法界とか、ループの世界の方が"真"なの。
 
っていうのは、あくまでも私の感じた印象であって、本来の意図は分からないけれど。
むしろ"真"であってほしいと心の奥底で望んでるのかもね。なーんて。
なんたってアリスちゃんですから笑。
 
全体として、もうちょっと伏線回収をしてほしかった感が残ってしまったけれど(気になるポイントが思いの外残っちまった汗)、エンターテイメント作品として普通に楽しめました。

◆商品レビュー「デジタルメモ"ポメラ"DM30」◆
※ショップサイトなどに投稿する用のレビューです。

軽くて持ち運びがラクラクできる優れモノです。ライティングの仕事をしているのですが、外出先の用事と用事の間に時間がある時や、旅行で長期間家を空ける時にノートパソコンを携行するのが重くて大変でした。かといってスマートフォンだと文字を打つのに時間がかかり、ヒーヒー言いながらパソコンを持ち歩いていたのですが、ポメラを手に入れてからはカバンにポンと入れて気軽に持ち歩けるようになったので大変助かっています。
打った文字が反映されるのに時間がかかるというご意見もあるようですが、それについては否定はしません。会議の議事録を取るといったオンタイムでの素早い入力が必要な方にはストレスかもしれません。ただ、私のように考えながら文章を組み立てて打ち込んでいく場合は、タイムラグもさほど気になりません。
コンパクトで場所も取らないので、カフェなどでも扱いやすいですし、本当に購入して良かったです。